空の日2012 広島空港で防災航空センター見学会実施
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JA6774 ベル412EP 広島県防災ヘリコプター メイプル
2012年年10月14日(日)、広島空港及び広島空港周辺地域に於いて「ひろしま空の日2012ふれあい秋まつり」が行われた。今回、このイベントに於いて広島県防災航空センターを見学し、センター長や隊員の方々から色々とお話を伺う機会を得たので下記にレポートする。 |
広島県防災航空センターは広島県防災航空隊の本拠地である。 防災ヘリコプターの機種はベル412EP。愛称はメイプル、広島県を象徴する木であるカエデ(maple)を意味する。 塗装は白、青、赤のトリコロールカラー 青の部分は広島県の県章で、広島県のかしら文字「ヒ」を図案化したもの。円によつて県民の和と団結を表現し、その重なりによつて、伸び行く広島県の躍進と発展を象徴する。 後方に重なる赤い部分は真っ赤に萌える紅葉(こうよう)を表す。 機体下部には拡声器がとりつけられ、ホイストには真っ赤な紅葉(もみじ)が描かれていた。 キャビンドアも開放、中が見えるようになっていたが、救急搬送仕様となっており、ストレッチャー他が装備されていた。 |
広島県防災航空センターには、センター長と県内6消防本部から派遣された防災航空隊員6名と運航を委託された中日本航空(株)より操縦士・整備士等4名が所属、防災航空センター出動後県内全域のどこでも25分以内に到着可能な体制を整えている メイプルは1995年(平成8年)7月11日に運航を開始、広島の防災を担ってきた。 運航は365日、8:30から17:15迄。広島市の消防ヘリコプター(広島西飛行場に常駐のAS365)と協力し、林野火災の消火活動をはじめ、山、海での捜索救助活動、地震など自然災害時の消火救助活動や情報収集及び物資搬送、救急患者の搬送等各種任務に当たる。 今までの運航実績は計891件(2012年4月1日現在)。内訳は火災130件、救急616件、救助49件、広域応援83件、その他13件である。616件の救急の内89件はドクターヘリ的事業であるが、広島県には近々ドクターヘリが配備される予定で、今後は救急搬送は減るのではないかとのことだった。 また、広域応援については、昨年(2011年)3月11日に発生した東日本大震災の際に総務省消防庁の要請により3月12日に出動。救出、病院搬送など延べ3週間にわたり活動を行っている。 |
メイプルのフライトシーン (クリックすると大きな画像が見られます) | ||
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11/10追記 当日(10/14)はフライトはありませんでしたが、後日「平成24年度中国・四国ブロック緊急消防援助隊合同訓練」にてフライトシーンが撮影できましたので画像を追加掲載します。 |
そして、公開されたのは1機だけではなかった。 もう1機は導入されたばかりの新鋭機、AW139! 昨年(2011年)7月に契約が締結され、今年(2012年)7月に所有者広島県として登録されたもので、一般市民への公開はこれが初めて。 とりわけヘリコプターファンにとっては存在は知っていても撮影機会のなかった機体であり、正にビッグサプライズプレゼントと言える。 |
登録番号はJA12HP 12は導入年度の2012年を、HPはHiroshima Prefecture(広島県)を意味する。 そして、もう一つ、Hiroshima Peace(ピース)という平和への願いを込めた意味もあるという。 塗装は412と同じでトリコロールカラー、機首下面にはStar SAFIRE赤外線カメラが装着されている。 ベル412はこの位置に広島県の県章が描かれているが、AW139ではこのカメラのため描けない為、一目で広島の機体と分かるよう、エンジンカウリング部により多くの紅葉が描かれているとのこと。 AW139は現在訓練中で運航は2013年1月1日からという。 既に側面ドアにはメイプルの名前が入っており、出番を静かに待っているという感じであった |
412との相違点はホイストの位置、ベル412は機体中央にあるの対してAW139は前方に設置されている。 これだけでも訓練方法が変わってくると聞き、パイロット、隊員方の努力・苦労がしのばれた。 コクピットやキャビン内も見られるようになっており、同カメラのモニタ装置など充実した装備が見られた。 後方に目を転じると後方カーゴ部が開口しており、ここに装備品を格納している。通常この部分には隔壁があり奥は見えないのだがこの機体には隔壁がない。このカーゴ部開口仕様は全国でも広島が初めてとのことだった。 |
今回の見学はシャトルバスに乗ってセンターまで行くのだがコースは海上保安庁、その次に防災センターとなっていた。しかしながら、海猿人気は覚めやらず、先ず海上保安庁を見学してからセンターに来るという感じで意外と観客は少なかった。 センターを訪れた人の中には防災ヘリコプターがあることを知らなかった人、ヘリコプターが意外と小さいので驚いていた人(広いエプロンで見ると周りに対象物がないので小さく見える)など、様々であった。 また子供用に用意された隊員の服を着られるコーナーがあり、だぶだぶの制服にヘルメットをかぶって写真におさまる幼児のほほえましい光景も見られた。 その他「バックミラーは何のためについているの?」、「ホイストは何mまでのびるんですか?」など熱心に質問する方も居て隊員の方々は色々な質問にも丁寧にに答えていたが、皆にこやかで、気負ったところがなく、正にフレンドリーということばがぴったりという印象であった。 そして・・今回驚いたのはまだ運用していないAW139を公開したこと。 これについてセンター長にお聞きしたところ、「広島県にはこのような防災ヘリコプターがあるということをより多くの方々に知って頂きたい。公開することはとても大切なことです」と語っておられた。本当はハンガーから出してエプロンで公開したかったのだが、主脚格納部後方にアンテナが張り出しており、これに子供が触れて怪我をすると危ないという配慮からハンガー内での公開にとどめたという。 小サイトでは正式運用前の機体の写真は原則として掲載しないことにしているが、ホームページへの掲載可否についてお聞きしたところ二つ返事でご了解頂いた。とても開かれた組織であると感心した次第である。 |
左 | コウスケ | 公助 | 県民の命と財産を守る |
中央 | ジスケ | 自助 | 自らの命は自分で守る |
右 | キョウスケ | 共助 | 地域の皆で助け合う |
広島県では防災意識を高めようとタスケ三兄弟というキャラクターを作り、啓蒙に努めている。 県ではこのキャラクターが着いたTシャツを作成、啓蒙を図っており、センター長はこのタスケ三兄弟が描かれた黒いTシャツを着てPRに努めていたが、こうした活動からも防災に関する高い意識を感じさせる。 私見だが、このメイプルの機体にもタスケ三兄弟を描けばもっと親しみが増すかもしれない。 |
さて、このブルーに塗られた県章のヒだが、長く尾を引くところから筆者には飛翔のヒにも見えた。 この新鋭機AW139、来年1月に正式運航とのことだが、今から待ちきれない。 早くその飛翔する姿を見てみたいものである。 (S) 尚、本記事執筆に当たり、下記を参考にさせて頂きました。 広島県ホームページ掲載の「平成22年度及び23年度広島県防災ヘリコプター運航実績の内訳 (別紙1/4)」1.種類別件数(H24.4.1現在) |
コメント 当日9時に広島空港の駐車場に到着。9:45始発のシャトルバスに乗り同センターには10時前に一番乗りで訪問し、色々とお話を伺うことが出来ました。お世話になりましたセンター長をはじめ航空隊の皆様にこの場を借りまして御礼申し上げます。 さて私事で恐縮ですが、パイロットの方とお話ししたところ小サイトのことをご存知で、特に「BAR222」のページをよくご覧になっているとのこと。 諸事情で休止していましたが、「これはホームページを再開せねば!」と新たに決意した次第です。 また、整備の方と歓談中、転勤後連絡が取れなくなっていた名パイロットの方の話をしたところ、その方が今日たまたま広島西飛行場に出張にいらしているとのことで、わざわざ電話を掛けてくれ電話で数年ぶりの再会(?)を果たすことが出来ました。本当にこの業界、広いようで狭いと痛感した次第です。 そんなヘリコプター業界の方々にも楽しんでいただけるようホームページを頑張って続けてまいりますので、皆様よろしくお願い申し上げます。 2012/10/20 初稿掲載 |
お断り 本原稿は当初Eventのページで「空の日2012年 広島空港」のイベントとして掲載しましたが、内容が防災ヘリコプターのレポートであることから、本・消防防災ヘリコプター特集」のページに移行、画像を追加しイベント記事と分離致しました。 2012/11/11 画像追加 |
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